第143回北海道診療情報管理研究会学術集会(報告)
平成27年12月12日(土)に「第143回北海道診療情報管理研究会」が札幌市中央区の(株)ほくやく ほくたけビル9F会議室にて開催されました。 今回の学術集会は「会員発表」を中心に行い、第1部・第2部合わせて計10演題となり、例年よりも演題数が多く、また参加人数も約130名と多かったため、会員の皆様の関心の高さがうかがえました。まず、第1部では5演題の発表が行われました。 演題名:北海道の医療機関のセカンドオピニオン対応状況に関する患者視点に立った調査 発表者:北海道情報大学 経営情報学部 医療情報学科 船越幻夢さん 患者の視点から、ウェブサイト上に公開されている医療機関のセカンドオピニオン対応状況を評価した試みが発表されました。 演題名:院内がん登録から見た北海道、東京および全国の乳がん治療状況の比較検討 発表者:北海道情報大学 経営情報学部 医療情報学科 宮崎耀さん 現在公開されている、院内がん登録の集計情報から乳がん治療における違いを明らかにするため比較検討を行った発表でありました。 演題名:DPCコーディング委員会WGの取組について 発表者:JA北海道厚生連 帯広厚生病院 医事課 中野晋太郎さん DPC制度に関する理解や各診療科分析を行うため、DPCコーディング委員会WGを新設し、そのWGの取り組みと効果についての発表となりました。 演題名:診療録管理体制加算1における退院時要約の早期完成に向けた取り組み 発表者:市立函館病院 医事課 診療情報管理室 木村忠司さん 退院時要約の作成について退院後14日以内の完成率を90%以上維持するための取り組みと現状の課題についての発表が行われました。 演題名:DPCコーディング勉強会の効果について 発表者:JA北海道厚生連 札幌厚生病院 医療情報課 土屋亮さん 北海道厚生連の3施設によるDPCコーディング勉強会を開催し、参加者のアンケート結果を元に、勉強会を開催した効果についての発表となりました。 第1部は、北海道情報大学の学生発表が2演題あり、公開されている情報用いての調査や検証を行った発表となりました。 DPC関連や退院時要約作成についての取り組みについては、今後取り組みを検討している施設にとって参考になる内容であったかと思います。 休憩の後、第2部が行われ5演題の発表がありました。 演題名:診療情報管理士による褥瘡対策支援への取り組み 発表者:王子総合病院 診療録管理センター 延藤雅仁さん 診療情報管理士という立場から褥瘡対策を支援するため、褥瘡危険因子評価票未作成リストを作成し、皮膚・排泄ケア認定看護師へ提供することで評価率の向上に繋がった、との発表でありました。 演題名:診療情報管理課における診療情報の蓄積と活用 発表者:札幌中央病院 診療情報管理課 佐藤舞さん 診療情報の蓄積と活用を目的とし、自院で構築された「診療情報管理課データベース」の運用や効果、また現状の課題についての発表となりました。 演題名:電子カルテ導入後の退院時要約一元管理の現状と課題 発表者:旭川医科大学病院 経営企画課 鳴海彩香さん 新しく導入された医療文書支援システムを用いて、退院時要約作成における新しい管理方法の検討を行い、円滑な管理体制の構築が図れた、との発表でありました。 演題名:がん登録の当院独自の品質管理項目に関しての検証 発表者:北海道大学病院 医療支援課 診療情報管理室 横山瑠奈さん 3年間のがん登録症例を用いて、どのような登録ミスがどの程度あったかを確認し、登録時に必要なチェック項目を検討した取り組みが発表されました。 演題名:苫小牧市の救急医療体制のバランスに関する一考察‐傷病者引継書情報からの検証‐ 発表者:王子総合病院 診療録管理センター 久保博文さん 救急車搬送患者の傷病者引継書のデータをGIS(地理情報システム)へプロットすることで、視覚的に検討を行った発表となりました。 第2部では、褥瘡対策支援や院内の運用整備、情報の分析・活用といった発表でありましたが、第1部と同様に取り組みやその成果は参考になり、出席した会員の皆様が真剣にメモを取っている姿がとても印象的でした。 全ての演題発表終了後に、発表された10名の皆様に中村会長より表彰状が贈られました。
【最後に】
例年12月の当研究会は会員発表を行っていますが、今回は学生発表2演題を含む10演題と演題数が多く、また演題内容もタイムリーな内容が多かったため、例年以上に活気に溢れた会員発表となりました。今回の会員発表も会員の皆様にとって、とても充実した会員発表となったのではないかと思います。
次回の会員発表も充実したものとなるよう、多数の演題登録やご出席をお願いいたします。 お忙しい中、発表の準備をしてくださいました10名の皆様には深く感謝いたします。
ご出席していただいた会員の皆様方におかれましても年末のお忙しいときにも関わらず、研究会へご参加いただき、ありがとうございました。
またのご参加を役員一同心よりお待ちしております。
【文責:盛永】