第151回北海道診療情報管理研究会学術集会(報告)
平成30年3月10日(土)札幌市中央区の第一三共株式会社 札幌支店において「第151回北海道診療情報管理研究会学術大会」が開催されました。
当研究会中村博彦理事長の開会の挨拶の後、第一部講演講師の東京医科歯科大学大学院医療政策情報学分野教授 伏見清秀先生が座長の近藤保理事より紹介されました。
「DPCデータを用いた医療機関と地域の評価の今後」と題して、前半は今年度のDPC改定について変更のあった項目の内容とその背景、今後の方向性についての説明など、後半は東京医科歯科大学附属病院で先生が取り組まれているクォリティ・マネジメント事例を紹介いただきました。
平成30年度のDPC改定では、暫定調整係数や後発医薬品係数の廃止などがありましたが、
これらはいわば「予定通り」であると同時に今後は「病院指標(病院情報)」について、DPCデータの質の向上・分析力と説明力の向上を目的としながら「医療の質を評価できる」指標が議論されているとのことでした。
また、ケースミックス分析による病院機能評価については『効率性指標』『複雑性指標』の意味合いを理解し、自施設においては傾向と将来にむけての方向性の議論に活用していく必要があることを指標の読み方と共に説明されました。
後半は、東京医科歯科大学附属病院のクオリティ・マネジメント・センター(QMC)の活動事例が紹介されました。病院内における位置づけや目的に加え、質評価・医療安全・経営指標についての分析事例や指標のPDCAでの活用事例について具体的な活動内容を紹介いただき、参加者にとっては自施設での導入検討の大きなきっかけとなったのではないでしょうか。
また、データ分析においては機械的な計測ができない部分での診療情報調査に診療情報管理士の活躍の機会がありそうですし、このような活動の副次的効果として「診療情報(診療録)の質の向上」が挙げられていたことは、活動が日常の業務と深く結びつくものであることを実感しました。
第二部講演は、海老名春代理事を座長に、国立研究医療法人 国立国際医療研究センターの須貝和則先生による「医療現場から見た診療報酬改定~診療情報管理士として改定を考える~」でした。
4月からの改定を前に情報が逐次公表されている時期であり、どの施設でもその内容と意味、そして方向性を検討している最中と思われましたので、須貝先生の100枚を超えるプレゼン資料とご説明は、参加者にとって大変貴重なものでありました。
新たに設定された加算についてはその意味合いのみならず、実際にどのような運用をイメージしているのか、国立国際医療研究センターでの検討内容まで説明いただきました。
また加算についてだけでなく、今回の改定には「医療機関の業務の効率化・合理化」や「診療報酬データの利活用」にむけた事項もあり、電子レセプトでのカタカナ併記や外保連提供のコードの記載などがそれにあたるとのことでした。
この他にも看護関連の加算や医師事務作業補助体制加算の改定などに加え、情報通信技術(ICT)を活用した関係機関連携推進項目や各種係数の内容の確認とそれらの今後の方向性についてなど、まさに「今知りたいこと」が盛りだくさんの内容でしたので、参加者の多くは自施設でさっそく情報共有したことと思います。
【最後に】
「3月は春」の東京からおいでいただいた先生方には、かなり寒い北海道だったことと思いますが中村理事長の挨拶にありましたように「タイムリー」な話題を濃厚にお話しいただけたことは北国の参加者を熱くしてくださいました。
年度末のお忙しい時期に誠にありがとうございました。
また、120超名の満席の参加者の皆様方にもご参加いただきありがとうございました。
【文責:古川】