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第150回北海道診療情報管理研究会学術集会(報告及びアンケート結果)

 平成29年12月2日(土)に「第150回 北海道診療情報管理研究会学術集会」が株式会社モロオ本社(札幌市中央区北3条西15丁目1番地の50)にて開催されました。
 「会員発表」は二部構成で、学生による2演題を含む計10題の発表が行われました。

 学術集会は、北海道診療情報管理研究会の中村博彦理事長(中村記念病院理事長)の開会あいさつの後、第一部の5演題は久保博文理事(王子総合病院)、第二部の5演題は盛永剛理事(北海道がんセンター)がそれぞれ座長を務めました。

※今回のレポートは写真掲載がございません、予めご了承ください。

第一部(13:35-14:35)
1. 演題名:診療情報管理課および医療連携課による前方連携強化
  演 者:札幌中央病院 佐藤 舞、瓜生 智之
【内容】
 診療情報管理課のデータと地域連携課が保有するデータを分析活用し、より効率的な病診・病病連携をすることで経営に貢献する取組についての発表でした。


2.演題名:診療情報管理テキストⅢから見た求められる診療情報管理士像の変遷について
 演 者:北海道情報大学 伊藤 好花、高橋 文
【内容】
 平成29年7月より、診療情報管理士テキストが新カリキュラムのもと刷新され、これを期にテキストにおける診療情報管理士業務の変遷とテキスト自体の役割りの変遷、および求められる診療情報管理士の能力について調査した内容でした。


3.演題名:救急搬送患者の傷病者引継書病名と退院時病名についての検証
 演 者:王子総合病院 竹原 志織、久保 博文
【内容】
 傷病者引継書には、救急救命士により医療機関へ搬送されるまでの処置、情報や医療機関に搬送されたあとの医師の診断などが記載されています。傷病者引継書に記載された病名と退院時病名との一致率について、また診療時間内・時間外での一致率および不一致率をそれぞれ算出し比較検証した発表でありました。


4.演題名:北海道のDPC対象病院取組状況に関する調査
~機能評価係数Ⅱ保険診療指数における「病院情報の公表」~
  演 者:北海道情報大学 高橋 舞、 高橋 文
【内容】
 平成29年度より「病院情報の公開」への取組状況が保険診療指数として評価されることから、北海道のDPC対象病院の公表データを「分析力」「説明力」「質」の視点で独自の基準を設け評価した発表となりました。

5. 演題名:適正なバリアンス評価作成を目指して
  演 者:JA北海道厚生連 旭川厚生病院 千代 智代、木下 ゆかり、佐藤 寛剛
【内容】
 当該病院のクリニカルパス委員会内「小委員会」における活動報告があり、クリニカルパスの運用状況・バリアンスの分析と評価・バリアンスについての講習会開催など、診療情報管理士と病棟看護師による医療の質向上における協力状況がうかがえる発表でした。

第二部(15:00-16:00)
6. 演題名:診療情報管理士による感染対策への関わり
  演 者:王子総合病院 延藤 雅仁、久保 博文、三橋 隼也、小林 稔、成田 和希
【内容】
 感染管理認定看護師の業務負担の軽減と業務の効率化を図るためのシステム構築及びデータの利活用に診療情報管理士が具体的にどのように関与したかについての報告があり、ポイントは院内の薬剤データから対象の項目を抽出し、Accessソフトを用いたアンチバイオグラムを作製した点で、診療情報管理士の院内での活躍を知ることができる発表でありました。


7. 演題名:FileMakerを使用したNCD登録質向上への取り組み
  演 者:札幌南三条病院 高倉 絵美
【内容】
 診療情報管理士が入力している病歴管理システムにはNCD登録に必要な情報も多く含まれているため、FikeMakerで作製された外科手術台帳と統合することにより、誤入力の防止および手術台帳の未入力・誤入力の見つけ出しに有用な機能を実装できた報告となりました。


8. 演題名:当院における無線通信遅延およびその改善について
  演 者:昆 貴行
【内容】
 多くの医療機関では電子カルテをはじめとした医療機器類を稼動させるための無線LANが整備されており、深夜に通信遅延が発生したことから、病棟毎の電波強度の測定や院外からの電波の到達状況まで調査した報告となりました。対策についても検討され、費用対効果を考慮した改善索まで考案された興味深い報告となりました。

9. 演題名:DPCデータと電子カルテデータを使用した診療記録量的点検機能の実装
  演 者:北海道大学病院  初山 貴
【内容】
 診療情報管理士の主たる業務である診療記録の量的点検について、目視ではなく電子カルテのテンプレート機能を活用して診療記録の監査を行った報告となりました。

10. 演題名:BIツールを用いた院内がん登録データの品質管理
    演 者:北海道大学病院 本田 千晶、佐藤 由季、嶋田 ありさ、酒井 梓、
        木村 茜、成田 知穂、青山 恵里佳、初山 貴
【内容】
 病院で発生する膨大な医療情報の収集・分析・報告するための技術としてBIツールを活用し、院内がん登録の品質管理が可能かどうかについて検証した報告となりました。BIツールはQlilViewを用いて、データ抽出・インポート・グラフ作成等が行われていました。

【おわりに】
 当日はおよそ80名余りの会員の皆様方にご来場いただき、会員発表は大変盛況でありました。発表内容も多岐に渡り、他院の生の業務内容を直に知ることができる貴重な機会となりました。
 今回は、北海道診療情報管理研究会150回目という節目の研究会でもあり、次回も足を運んでいただけるような研究会であるよう努めなければ、と強く感じました。

[文責:高橋 文]

【第150回学術集会アンケート集計結果】
 学術集会参加者よりいただいたアンケート結果です。
○回答者(参加者)
 今回は回答率72.8%でした。参加者数が前回、前々回よりは少なく、一昨年の会員発表とはほ ぼ同じでした。
 年齢構成、性別構成はこれまでと同様で40~50代がやや少ない傾向となっています。
第150回アンケート1


○職種/業務
 
これまで同様、参加者の9割が事務員で多くが診療情報管理士でした。学生の会員発表もあったため、学生の参加がありました。
 参加者の日常携わる業務はDPC、点検登録、がん登録の上位3つはこれまで同様です
第150回アンケート2


○会員発表について
 
会員発表について、多くの参加者が演題数や時間配分についてちょうど良いとの回答でした。
 しかしながら、演題数や質問時間について、多いまたは長いという回答もやや出ております
第150回アンケート3


○会員発表の開催回数/開催時期
 
会員発表は毎年12月に開催しているが、参加者からは年1回以上の開催を望む声も少なからずありました。
 また、開催時期は現在の12月のほか、9月という意見も多くありました。
第150回アンケート4


○会員発表の優秀者選考と助成について/親睦会の開催について
 
優秀者選考と会員発表は賛成意見は多かったものの、分からないとする意見も多数ありました。
 親睦会の実施については、年1回の開催と不要とする意見で意見が分かれた結果となりました。
第150回アンケート5