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第152回北海道診療情報管理研究会学術集会(報告)

 平成30年6月30日(土)株式会社モロオ ANNEX-1において「第152回北海道診療情報管理研究会学術大会」が開催されました。

※当日カメラ故障のため、講師及び会場の模様を撮影することができませんでした。予めご了承ください。

◆第一部講演
「医療安全と診療記録~記録の記載、監査、院内教育」 講師:嶋崎明美 先生 
 
 診療記録の記載、監査、院内教育、今、まさに学びたい内容のひとつでした。ちょうど、当院の診療情報管理委員会で、質的カルテ監査の実施回数や方法について検討しているところだったため、何かを掴んで帰りたいという気持ちで参加しました。
 今回の講演の中でもっとも印象的だったのが、参加者全員で行った「模擬カルテ開示」のロールプレイでした。
 最初に、医療安全と診療記録~記録の記載の目的、監査方法、院内教育の手法について、多角的な視点からより良い記録の在り方についてご講演いただいた後、参加者全員で、患者役、医療者役を決め、シナリオ(模擬カルテ記録)を元に患者役は医師役へ質問し、医師役は質問に対する回答を行いました。
 実際に自分が、医師役を演じてみて、回答の根拠となる記録がなく回答に困窮するといった状況を体験し、十分な記載の必要性を理解することができました。
 また、患者家族役の立場で質問をする際には、記録だけを見てもどんな方針で治療が行われたか、患者の意志や訴えがどのような形で診療に反映されたか分からず、医師へ詳細な説明を求めたくなる体験をし、良い記録のありかたとは、ロールプレイでやりとりした質問と回答が記載されていることだと理解しました。
 また、SOAPに沿った記録の大切さを改めて感じました。今回、嶋崎先生の病院で、実際に使用されている質的監査チェックリストという貴重な資料もご提供いただいた上に、講義、ロールプレイから、沢山の学びを持ち帰ることができました。今後、質的監査を進めいていく上で、新しい風を取り入れられそうです。 

◆第2部講演
「医療行為分類(ICHI)とは~今後の活用と診療情報管理士の関わり~」講師:瀬尾善宣 先生

 医療行為の多様化・高度化等が進む中で、その分類の国際的な標準化が必要です。現在WHOで検討されている医療行為の国際分類(ICHI)の状況および基本構造についてとICD-11改訂の動向についてご講演いただきました。
 ICHIはWHO国際ファミリー分類において、ICD、ICFと並んで中心分類であること。「医療行為」の定義が「Health Intervention」、「介入」という言葉のように発展している点などおはなしされました。
 また、日本国内における診療行為に関する分類の現況について、Kコードや外保連手術試案、その基幹コードSTEM7等、「情報の利活用を見据えた対応」として検討が進められていることが話されました。
 ICHIの構造では、STEMコードが7桁でその後ろにExtention Coadを付記する、「Target」(身体の部位、他)「Action」(診断、治療、管理、予防、他)、「Means」(アプローチ、他)から構成されることが胆嚢摘出術等を例に説明されました。
 ICHI開発のタイムラインは、2019年10月final版発表、2020年5月世界保健総会(WHA)でWHOによる承認を目指すというもので、既に公表されているβ版への意見提出が可能となっていると話されました。
 ICD-11改訂の動向では、「開発の目的」として①医学の進歩に対応した新しい知見の導入のため専門家を組織、②疾病・統計だけではない複数の使われ方を想定、③漢方など伝統医学の導入、④病名コードだけではない疾病概念を含めた情報体系へと進化、⑤電子環境での活用を前提としたシステム(冊子体を作らない)、⑥新しい章の追加、などです。
 2018年6月にすでにリリースされ、2019年5月のWHAでの承認、2022年1月からICD-11での報告開始という予定とのことです。この変化の時期に、普段あまり意識してこなかった点について改めて学んでいきたいと思いました。

【文責:本間、担当理事:昆】